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ひとひらの灯火に

現在は更新停止 個人的な記念に残しておく予定です

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※ムダに長文
※厨二乙
※要約すると「挨拶するのも気まずい」というお話




ある日わたしは手紙をもらった。
差し出してきたのはクラスのリーダー格の女子で、
さして会話もないような彼女から、ということに非常に驚いた。

なんの手紙かと尋ねてみても、
彼女は「ちゃんと読んでね」と念を押すだけでなにも教えてくれない。
なにが楽しかったのか、彼女は終始ニヤニヤと笑っていた。

まさか不幸の手紙の類ではないだろうな…と思いつつ、
帰宅後、さっそくその手紙を開封してみた。


書き出しの文面に目を通すに、本当の差出人はあの女子ではないらしい。
そのときになってようやく気づいたのだけど、宛名にあったのは同じクラスの少年の名前だった。
たしかに彼とは仲がいいほうだと思うが、これはいったいどういうことなのだろう。

悲しくも頭が良いとは言えないわたしはしばらく事態を飲み込めなかったが、
どうやら私に伝えたいことがある彼が、字の上手い女子に代筆を頼んだということらしい。

結論から言うと、その手紙はラブレターだった。
もう内容はあまり覚えていないのだけど、
小学生らしいたどたどしい文面の中、精一杯のボキャブラリーを駆使して
ずいぶん大げさにわたしを褒めちぎってくれていたように思う。

余談だが、これは面と向かって本人に告白するのとどちらが勇気がいるのだろうか。
第三者にとはいえ、かわいいだのきれいだのとぶっちゃけるのもそうとうに恥ずかしいと思うのだけど。

…いや、そんな疑問は無粋以外のなにものでもないか。
きっと彼もこの年になって好きな異性の1人もいないわたしに突っ込まれたくはないだろうし。




ええと、どこまでいったかな、
すぐに話がずれるのはわたしの悪い癖だね。
……ああそうだ、

とにかく、正直なところわたしは嬉しかったのだ。
友達に褒められて嬉しくないわけがない。

けれど、困ったことに当時のわたしにはラブとライクのちがいがわからなかった。
どちらも「好き」なのに、別の意味を持たせるのはどうしてなんだろう。

そんなことすら考えたことがなかったので、
彼の告白は正しくわたしに伝わらなかったのだ。




事件は次の日に起きた。
いつもどおり登校したわたしはあいさつもそこそこにクラスメイトに囲まれて、
「で、どうなの?返事は!?」と詰め寄られた。

意味がわからない。
そしてやたらとテンションが高くて怖い。
人の話を聞かないメンツをやっとの思いで宥めると、
どういうわけかクラスのほぼ全員が手紙の内容を知っているという。

ここまでくれば、単純なわたしでもさすがに事情が理解できた。
あの野郎手当たり次第言いふらしやがったな、と…!

そしてようやく、わたしは手紙の本来の意味を知った。


まあつまり、なんてことはない、よくあるできごとなのだと思う。
なにかと恋愛ごとに首を突っ込みたがる思春期の連中にとっては、またとない機会だったに違いない。
ともすれば当人同士の気持ちすら置き去りにする勢いは恐ろしいの一言に尽きる。


それからというもの、ことあるごとに過剰に冷かされる恥ずかしさに耐えかねたわたしは、
しつこく「彼のことどう思ってる?」などと聞かれるたびに、やはり過剰に、「彼は友達だ!」と繰り返していた。

本当に、ばかなことをしたと思う。
同じく冷かされながら、これを何度も聞いていた彼はどんな気持ちだっただろう。




けっきょくのところ、どうにも涙腺の緩いわたしは早々に泣き出してしまって、
ついには担任の先生に知れるほどの大事になってしまった。

そのときのごたごたで、彼にちゃんとした返事をするタイミングを逃し続けて現在に至る。
わたしは彼に謝りたいとずっと思っているのだけれど、
いまさら10年近い過去のことを蒸し返すのもどうかと思うから、
なかったことにしたほうがお互いにとっていいのだろう、きっと。

それから卒業のときを迎え、彼とそれきり会うこともなかったのなら
ここまで引きずったりしなかったかもしれない。
けれど、どうしたことか彼とは細々とした縁が続いているのだから
人生とは、わからないものだ…。
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